講演会(ご案内・ご報告)

第3回講演会

プログラム1
『ご挨拶』
東京大学名誉教授:篠原 一


 ご紹介いただきました篠原でございます。きょうはご多忙のところを多数お集まりいただきまして、ありがとうございました。これで講演会は3回目になりますが、これまでの講演会の結果はホームページに載せてあります。この講演会では、基礎医学的なお話と、臨床的なお話の2つをしていただくという建前になっております。患者にとっては、私も患者ですが、ともかくがんがよくなればいいので、科学性がどうあろうとあまり関係がないのですが、科学性がはっきりしないとお医者さんが納得して打ってくれませんので、そういう意味ではお医者さんにもいろいろ新しい専門情報を知っていただくことは十分意味のある事と考えています。
 私たちが丸山ワクチン患者家族の会をつくってから私などはほうぼうから攻撃を受けました。丸山ワクチンはただの水だとか、偽薬だとか。そのとき論争をして、どっちの説が科学的かを論じてきました。もちろん私の言っている方が科学的であることを、いろいろなデータをあげて主張してきたのですが、ご存知のように最近、自然免疫、あるいは基本免疫の新たなる発見、つまり免疫学の革命という問題がでてきまして、実はそれと丸山ワクチンが密接な関係にある、丸山ワクチンが自然免疫を活性化する、強化する数少ない薬の一つだということがだんだんわかってきました。NPO発足の第一回の講演会で、日本医大の高橋先生にお越しいただき、このまさに新しい時代の丸山ワクチンという問題を、基本免疫との関係でお話いただきました。これがわれわれの活動の原点になりますので、NPOのホームページを開いて、ぜひもう一度読んでいただきたいとおもいます。
 これから、この問題とも連関して、前回から今回の間におきた一、二の問題を紹介させていただきます。ご存知のこととおもいますが、今年の2月3日朝日新聞社で免疫学の最前線についての公開シンポジウムがおこなわれ、その結果の要約が3月4日、日曜日の朝刊で2頁の見開きで掲載されています。これはたいへん興味のある内容のものですから、まだお読みになっていない方がおられましたら、ぜひお読みになっていただきたいとおもいます。そこではいま自然免疫で非常にご活躍になっている審良静男先生や谷口克先生など五人の専門家が参加して、免疫研究の最新状況について報告しています。
 その中で皆さんすでにご存知だとおもいますが、審良先生は自然免疫の研究者で、世界の権威ある科学雑誌に引用される論文数が一番多い方です。二年連続してトップだったそうですが、この先生が討論の中で丸山ワクチンに言及しておられます。新聞には一箇所しか出ていないのですが、シンポジウムでは報告と討論の双方でふれられています。報告の中でも丸山ワクチンのこととBCGのことを述べておられますが、この方は山村先生のお弟子さんですし、二つの薬はともに結核菌からつくられたものですから、当然でしょう。そして討論の要約のところで、丸山ワクチンとかBCGという免疫療法はいったん廃れたと言っていますが、新聞にはこの「いったん」が抜けています。シンポでは、「いったんは廃れたが」、そのご抗原ペプチドを投入する療法と併用すると,非常に効果があることがわかってきた。そして丸山ワクチンなどとのこのような併用療法はいまブームになっているといっています。本当にブームになっているのかどうかよくわからないのですが、たしかにそういう言葉を使っておられます。
 基調講演をされた谷口先生は理化学研究所の先生ですが、この先生も討論の場で、審良先生のおっしゃるように、この併用療法はこんご「非常に効くのだろう」と念をおされていますが、この点は新聞の要約にはのっていません。こういうわけで、高橋先生のおっしゃったことがだんだんと浸透してきておりまして、丸山ワクチンは確実に科学性を獲得してきたといってよいでしょう。私は勝手に論争に勝利したと考えていますが、どうでしょうか。ともかく、3月4日の記事のこれらの部分は非常に重要とおもわれますので、ぜひお読みください。
 もう一つ、きょうお話いただく伊丹先生のご尽力で、米国ホスピタル・アート財団から絵画の寄贈を受けることになりました。これはボランティア団体で、患者の治療や癒しに著しく貢献した団体に対して、患者を含めた人々が描いた絵を寄贈するという行動をしておられるところで、その絵を丸山ワクチン施設に寄贈したいというお話がありました。まだものは到着しておりませんが、やがて届くということでございますので、丸山ワクチン施設においでの節はごらんになってください。きょうはこれからいろいろ内容豊かなお話が伺えるとおもいますので、私の話はこれくらいにして、さっそく講演会に入りたいとおもいます。これからもこの講演会などよろしくおねがいします。