講演会(ご案内・ご報告)

第4回講演会

プログラム2
「きれい社会の落とし穴」─アトピーからがんまで─
(丸山ワクチンとがんを考える)
人間総合科学大学教授
東京医科歯科大学名誉教授:藤田 紘一郎


1.生涯の研究テーマ、「寄生虫」がアレルギーを抑える

東京医科歯科大学名誉教授:藤田 紘一郎  皆様、こんにちは。ご紹介いただきました藤田でございます。
きょうは、「丸山ワクチンとがんを考える会」に呼んでいただきまして、ありがとうございました。篠原先生、丸山先生、飯田先生を初め関係の先生方に厚く御礼申し上げます。
 私は、免疫学を専門にしていますけれども、変なというか一般的には変な材料を使って免疫学をやっております。寄生虫がアレルギーを抑えるという研究をしてまいりました。私の考え方は医学界ではじめのうちは無視されたわけですけれども、今アレルギーの本当の原因は私が言っていることが正しいということになってきました。アトピーとかぜんそくにならないことも免疫ですし、がんにならないことも免疫です。自己免疫疾患にならないことも免疫ですし、感染症にかからないことも免疫です。免疫というのは非常に複雑な要素をもっています。きょうは免疫というのはどういうことであって、がんにならないためにはどうしたらいいかという、私の40年間にわたる研究を聴いていただきたいと思います。私の変な顔よりこちらに可愛い寄生虫が出てまいりますから、(会場、笑)私の顔を消していただいてこちらを見ていただきたいと思います。
 最初は、このアトピー、ぜんそく、花粉症がなぜふえてきたかというお話からさせていただきます。これは奇妙な病気といわれている、なぜかというと40年前に全くなかった病気です、それが国民病になった。なぜか、答えを言いますと、きれいにすることはいいことですけれども、行き過ぎるとこういう病気が出てくるということでございます。
 私は、整形外科のお医者をしておりまして、柔道をやっておりましたのでたまたま熱帯病の調査団の荷物持ちをさがしていた団長さんとトイレであったというのが運のつきでして……ここで笑ってほしかったのですけれども、(会場、笑)整形外科をやめて回虫なんかを研究することになりました。藤田はとっても不器用で整形外科の医者には向かない、回虫がいいだろうということで変わってしまったのですけれども、今失敗したなと思っています。今流行っている整形外科のお医者さんは、結構不器用でも流行っていますから失敗したなと思うわけですけれども、回虫とかウイルス、細菌などを研究しました。日本はきれい社会になりまして、回虫とかウイルスの医学博士はどこの病院もほしくないということで海外に目を向けたわけです。これは40年前の私の写真です。
 うんちが流れているところで子どもたちが遊んでいました。こんな汚いところで遊ぶから君たちはいろいろ病気になるんだよと言ったわけですけれども、私はここに40年間通っています。彼はいいおっちゃんになって、彼女はいいおばちゃんになっている。君たちはこんな汚いところで遊ぶからアトピーとかいろんな病気になるんだと言ったのですけれども、日本の子どもたちよりずっと元気に育っています。肌を見てください、黒光りしています、もう触るととっても気持ちいいです。特に若い女の子の肌、一回触るとやみつきになります。(会場、笑)皆さんも触ってほしい。全くアトピー、ぜんそく、花粉症がないわけです。なぜ、うんちが流れている川で遊んでいる子どもたちにアトピー、ぜんそく、花粉症がないのだろうかというのが、私の生涯の研究テーマになりました。
 ここはなかなかお医者さんが行ってくれないところでして、私はお茶の水の順天堂大学というところにおりました。衛生学の助教授をして柔道部の部長をしておりましたから、一番だましやすいのが柔道部員でして、毎年柔道部員をだまして連れて行った、そして調査をしたわけです。この話をこの間、慶応大学の医学部でしましたら一番前の学生が手を挙げて、これ僕のお父ちゃんですと言っていました。(会場、笑)あまり人の悪口は言えないなと思ったわけです。
 調査しますと、うんちが流れている川で生活をしていますから、全員が回虫にかかっていました。ところが血圧測っても正常者が多い、コレステロールを測っても正常者が多い。ここにおられる方で若い方は回虫に全員かかっているというと、とっても野蛮な民族と思われるかもわかりませんけれども、私とか篠原先生はそう思わない。なぜかというと1950年度の日本人の回虫感染率は62%です。私はそのとき三重県多気郡明星村にいましたから全員回虫を持っていました。そのころ私たちはスギ鉄砲で遊んでいました。スギの実を取ってきて顔は花粉で真っ黄色になっているけれども一人も花粉症はいませんでした。これらのことから私は回虫はアレルギーを抑えているのだろうと思ったわけです。
 これはイヌの心臓でして、ここにいるのはイヌのフィラリアという寄生虫です。順天堂大学の心臓外科の先生は野犬の心臓を使って実験しておりましたから、この虫は不用なものなのでもらえるはずですね。私はこの虫をもらってここからアレルギーを抑える実験を始めたわけです。でも大変でした。心臓外科の先生方は大変ケチでして、この虫ただでくれませんでした。私はこの虫をただでもらえると思っていましたが、ただでくれませんからお菓子を買って、ちらちらと見せるとやっとくれる。お菓子を見せてこの虫をもらって私がうれしそうに帰りますと、私のことを“おかしな”やつだと言ったという……(会場、笑)ありがとうございます。きょうは笑ってもらおうと思って一生懸命考えてきたのです。がんにならない一つの方法、がんを抑える、再発しない方法、笑うことなんですよ。笑うとNK細胞というのがワァーッとふえまして直接がん細胞を抑えるのです。ですから、まず笑うことが大事ですから、きょうは無理してでも笑ってほしいと思うのです。
 お菓子を見せてこの虫をもらって、私うれしそうにもって帰ります。そしてこの虫を洗って干してはさみで切ってすりこぎでという実験を始めたのです。でも、だれも手伝ってくれないのです。私、助教授をしていたのですけれども、教授の先生も、「藤田、こんなつまらない研究はやめろ」というのです。もっと高度な医学的な研究をしろというのです。でも私は三重県多気郡明星村の経験とインドネシアのカリマンタン島の経験から、絶対この中にはアレルギーを抑える物質があると思いましたから、教授の先生が帰られるのをじっと待っていました。夜遅くなって教授室の電気が消えると、私一人立ち上がってこの虫をこう洗って、干してやっていました。つらかったですよ、夜の順天堂大学の実験室怖いんですよ、そこでこの虫をこうやって……。順天堂大学の給料は安いんですよ、そして運の悪いことに子どもが3人も生まれました、家にはだんだん食べるものがなくなってまいりました。女房の里が九州でして送ってきたのがそうめんでした。朝から晩までこうやって……つかれて帰ったらそうめんしかなかった、それで「めんはごめんです」という話ですけれども。(会場、笑)
 もう篠原先生とか丸山先生は怒っています。きょう大事な講演会に漫才師を呼んだのではないと怒っておられると思いますけれども、笑うということがまず第一、NK活性がものすごくあがります。NK活性が高い人はがんになっても再発率ゼロですよ、ですから無理して笑ってほしいと思うんですね。で、ここからアレルギーを抑える物質をみつけました。寄生虫の分泌・排泄液の中にある約2万のタンパク質です。それが体に入るとアレルギーを抑えるということがわかったのです。



2.免疫反応と体内のサナダムシ

 免疫反応というのはマクロファージという細胞とヘルパーT細胞IIという細胞とB細胞という3つの細胞で行われています。だからおたふく風邪のウイルスがきたら、その情報がMHC-ClassIIというのとTCRというので伝えられます。もう一つはCD40というので伝えられて、おたふく風邪ウイルスが体にくるとそれに対する抗体ができます。はしかのウイルスがくるとその情報がB細胞に伝わって、はしかに対する抗体ができます。花粉が入ってくるとその情報がB細胞に伝わって、花粉に対するIgE抗体が出る。だから花粉症になるわけですけれども、私は花粉症にならないのです。なぜかというとおなかの中にサナダムシを飼っているからです。キヨミちゃんと名づけておりまして、(会場、笑)今12メートルになっています。
 キヨミちゃんは私のおなかの中でうんち、おしっこをばらまいている。そのキヨミちゃんのうんちの中の約2万のタンパク質が、私のCD40のところへパチンと入ってしまう。そうすると花粉を吸っても花粉に対する情報がここでブロックされて、花粉に対する抗体がつくらなくなる。だから私は花粉症にならないわけです。
 私はキヨミちゃんのうんちの中の約2万の物質をDiAg名づけたわけです。これが私のCD40というところへ入りますと、花粉を吸っても花粉に対する抗体がつくれないから花粉症にならないわけです。なぜ、キヨミちゃんがそんなことをしているかです。皆さん方はヒトの免疫は非常に強力で正確だと知っておられます。一度おたふく風邪にかかると二度とかかりません。それはおたふくのウイルスがくるとその情報がB細胞にいっておたふくに対する抗体をつくるのです。一度おたふくに対する抗体をつくれば二度目におたふくのウイルスがくると、バッとこの抗体が出てウィルス抗原と結合して排除するから二度とかからないわけです。はしかにかかっても二度とかからないというのは、はしかが入ってくるとはしかに対する抗体をつくります。一度抗体をつくると二度目にはしかのウイルスがきても抗体をもっていますから二度とかからないわけです。
 ところがサナダムシは何度でもかかります。今おなかの中にいるキヨミちゃんというのは実は5代目でして、初代はサトミちゃんといいました。(会場、笑)2代目はヒロミちゃん、何度でも入ってきて何十メートルになるわけです。それはどういうことかというとキヨミちゃんが入ってきたら異物ですから、私のマクロファージはキヨミちゃんを排除する抗体をつくるのです。でも、キヨミちゃんはおなかの中にいたいためにどうするかというと、きよみちゃんのうんちの中の2万の物質を排泄します。そうすると私のキヨミちゃんを排除しようとした抗体が無力な抗体になってキヨミちゃんはぬくぬくと私のおなかの中にいる。ところがそれがアレルギー反応を抑えている。ヒトと寄生虫との長い進化共生の歴史の中でヒトは寄生虫をおなかの中に入れてやろう、寄生虫はアレルギー反応を抑えてやろうという関係ができている。それと同じように私たちの体に住んでいるいろんなばい菌さん、これは異物ですけれども住んでいるわけです。それはヒトの免疫を刺激したり抑えたりいろいろやっているわけです。



3.アトピーを治す薬をつくる

 私の説はなかなか日本の医学界ではわかってもらえなかったのです。40年前なかったアトピー、ぜんそくがふえてきた原因は公害だという先生方がいっぱい聞きにくるわけです。食品添加物が原因だといっぱい聞きにくる。しかし私はおなかの回虫を追い出してしまったためだといっても全く聞いてもらえませんでした。私はアレルギー学会で16年しゃべっています。全く無視されました、虫を研究していましたから無視されて仕方がなかったかもわかりません。もう日本の医学部の先生方に全くわかってもらえませんから、私はコメディアンになろうと思ったわけです、それで書いた本です。ですからこれはだてに書いた本ではございませんで、私、コメディアンになろうと思っていますから、超・おもしろメディカルエッセイ、そして科学出版賞受賞ですから、皆さん方、この本は読まないと損でございます。1,400円で講談社から出ていますけれども、1,000円以上は買ってくれませんので、450円で講談社文庫から出ておりますので、私貧乏しておりますからよろしくお願いいたします。1冊買っていただくと11円ぐらい入ってまいりますから。
 これを書きましたら私元気になりました。一般の方々にわかっていただいたからです、回虫というのは気持ちの悪い虫だけれどもアレルギーを抑えているらしい、うわさになります。そうするとNHKも『ようこそ先輩』に出てください、『人間講座』に出てくださいと、朝日新聞に1年間連載してくださいとなります。私は元気になりましたのでもっといい研究をしようと思ったわけです。
 それは一度アトピーになったらなかなか治らない、一度ぜんそくになったらなかなか治らないということです。それはアレルギー反応というのは肥満細胞が破れた状態です。肥満細胞というのは太った細胞、これはヒスタミンとかセロトニンがいっぱい詰まっていて太っている。これが鼻の粘膜、気管支の粘膜、皮下の粘膜にいる、鼻の粘膜の肥満細胞が破れてヒスタミン、セロトニンが出るとくしゃみ、鼻水、鼻づまりが起こるのです。気管支の肥満細胞が破れてヒスタミン、セロトニンが出ると気管支は異常に収縮してぜんそくになります。アトピーは皮下の肥満細胞が破れてヒスタミン、セロトニンが出る、それを治す薬は出てきたヒスタミンを中和する薬が中心です。ですからいったんアトピーになると皮下の肥満細胞は破れ続けている、それを治す薬が出てきたヒスタミンを中和する薬しかないから、いったんアトピーになるとなかなか治らない。ぜんそくになるとなかなか治らないです。ところが寄生虫の2万の物質を薬にすると肥満細胞を覆ってしまいます。肥満細胞を破れなくする、これは世界でもありません。アトピーとかぜんそくを根本的に治す薬になるわけです。私は薬をつくろうと思いました。
 これは寄生虫のうんちの中の2万のタンパク質の遺伝子です。遺伝子を決めますと遺伝子組換というやり方でやりますと、大腸菌はこれと同じものをつくります。ですからもう寄生虫を洗って干してはさみで切ってすりこぎでしなくていいわけです。ですから私は多量の薬を手に入れました。そこでネズミをアトピーにしました。ネズミをアトピーにする一番いい方法はストレスを与える方法なのです。しかも御飯を食べるときに嫌な事をするのです。私はネズミがえさを食べようとすると決まって尾っぽに電流を流すという嫌らしい方法を考えました。そうしまして1カ月やりましたら……見てください、次を。
 こんなになりましたよ、これはネズミがえさをたべようとすると決まって尾っぽに電流を流すというやり方です。私はこの結果を見て……これはストレスというのはいけないなと思いましたね、特に御飯を食べるときにストレスを受けるのは免疫をぐっと落としますから、いけないなと思いました。私、この年になりますと地位も名誉もいりません、お金はちょっとほしいんですけれども。(会場、笑)いつまでも元気で頑張りたいでしょう、ですから私は御飯は嫌な人とは食べないと決めました。ですから女房とは食事しないことにしました。(会場、笑)笑ってもらおうと思って一生懸命やっていますから、ご理解ください。
 アトピーになったネズミに遺伝子組換でつくった薬をたった一回注射しました。たった一回ですよ。
 こんなにきれいになったのです。きょうはあまり驚いてくれないかなと思っていたんですよ、ここにおられる方はもう本当にお顔がいいですよね、とびきり美人とか美男子はいませんけれども、あまり周辺の方にストレス与えていないからこんなスライドが出てもだれも驚かない。私、東京の杉並から来ていますから、杉並はアトピーの強い人いっぱいいますよ。生まれつき強いアトピーで自殺未遂を何度もくり返している方とか引きこもっていて部屋から出てこない方がいる。ですから杉並でこの講演をしますと、このスライドが出た途端、会場が割れんばかりに拍手が出るんですよ、(会場、笑)ここは起こらないかなと思っていたんですよね、でもやり直したら起こるかもわかりませんので、ちょっと戻していただけますか。
 アトピーになったネズミに遺伝子組換でつくった薬をたった一回注射しました。その結果、こんなにきれいになりました。(拍手)
 何でもほしい人間でして許してください。すごいでしょう、こんな薬世界でありませんよ、私、この物質の特許をアメリカでとっています。そしてアメリカのベンチャー企業と組んで薬をつくりました。アトピーに投与したら一発で治りました。ぜんそくに投与したら一発で治った。私はこれでやっと多くの方々を救えるかなと思いました。そしてお金持ちにもなれるかなと思いました。ひょっとしたらノーベル賞かなとも思いました。ノーベル賞をとるためには人格をちょっと変えとかなくてはと思ったんですけれども、しかし、この薬だめでした。アトピーとかぜんそくは一発で治すのですけれども、がんになりやすい体質になっちゃうことがわかったのです。



4.Th1とTh2の免疫バランスをとる丸山ワクチン

 免疫はTh1とTh2の2つの工場があります。皆さん方の体の中には毎日平均3,000個のがん細胞が出ています。多い人で7,000個、少ない人でも1,000個くらい出ている。毎日出ているんですよ、その出ているがん細胞を見つけてやっつけるのがTh1です。出てくるがん細胞を見つけてインターフェロンとかナチュラルキラー細胞を出してやっつけるのがTh1なのです。ですからお肉ばっかり食べているとがんになりやすいのは、お肉ばっかり食べているとTh1が小さくなるのです。食品添加物とか防腐剤なんかをたくさん摂っていると、これはTh1が小さくなるのです。で、がん細胞を見逃しちゃうわけです。
 私の家系は代々医者の家系でして、私の親父とか兄弟とか子どもたちみんな医者なのですけれども、がんにならないんですよ、でも弟ががんになって死んじゃいました。私の家系は奥さんとあまりうまくいかない家系なんですね、私も危ないのですけれども、弟は別れちゃいました。弟は静岡市民病院の整形外科の部長をしていました。忙しいのでいつも食べているのが電子レンジでチンする食べ物です。チンする食べ物というのはいつでも好きなときに好きなだけ食べられる、便利な食べ物ですけれども、そういった添加物とか防腐剤が入っているものを食べているとTh1が小さくなります。ですから出てくるがん細胞を見逃しちゃうわけです。私は弟の生活を見ていると、おまえちょっと手づくりの料理を食べないとTh1が小さくなるよ、がんになるよと言っていたのですけれども、がんになって死んじゃいました。
 今、統計をとりますと、男性が40歳過ぎに離婚をすると、とてもがんになりやすくなりました。女性は離婚しようが何しようが変わらないんですよ。(会場、笑)男性だけが40歳以上で離婚をするとがんになりやすくなった。我々の時代は関係なかったのです。今便利になっていつでも好きなときに好きなだけ食べられる、これはそういう食品を食べているとTh1が小さくなってがんを見逃す体になるわけです。Th2というのはアレルギーを抑える系、これがちょうどシーソーのようになっている。ここへ私がつくった薬をたった一回注射しました。
 そうすると、こんなになったわけですよ。Th2が大きくなってアトピー、ぜんそくは一発で治したのですけれども、思いもよらないことが起こりました。Th1が小さくなって出てくるがん細胞を見逃す系にしてしまっているのです。ここまで聴いていただいた皆さん方は、私の研究が西洋医学の限界を示したとおわかりいただいたのです。私は西洋医学では勝利者だったわけです。なぜかというとアレルギーの原因を見つけて、それに対応する物質を見つけて薬をつくってアトピーに投与して一発で治ったのです。私は西洋医学では勝利者だったのですけれども、最後の最後にどんでん返しをくった。アトピーを治したのですけれども思いもよらないことがありました。免疫のバランスを失って出てくるがん細胞を見逃す系にしたということです。
 がんとかアレルギー、バランスの病気は西洋医学では無理なんです。東洋医学的な発想が必要なのです。東洋医学が大事にするのが自然治癒力です。私たちはこの地球上に36億年生きてきたわけです。抗生物質が発見されてたかだか100年、ワクチンが発見されてたかだか100年、我々が生きてきたのは自然の中でもらってきた力なんですよ、それが自然治癒力です。ですから西洋医学はがんとかアレルギーは無理なんです。ですから現にアレルギー学会で何十億と毎年お金をかけているのですが、ぜんそくはふえるばっかりです。アトピーもふえるばっかり、花粉症を抑えることができない、がんの発生はふえるばっかりです。これ西洋医学では無理なんです、東洋医学的な発想が必要なのです。
 丸山ワクチンを西洋医学で認めない。それは西洋医学はがんを抑える物質をはっきり特定しろというのです。でも、丸山ワクチンからがんに効くところだけ特定したら、これは丸山ワクチンというのはもともと結核菌のすりつぶしです。これを打つとTh1が大きくなります。出てくるがん細胞をやっつける、自然にやっつける、抗がん剤なんかは皆さん方知っておられるようにがん細胞はやっつけますけれども、我々の体もやっつけるわけですよ、細胞も。ものすごく苦しい、そして治療法としては不自然です。
 ところが丸山ワクチンというのは、Th1が大きくなって出てくるがん細胞を、NK細胞とかインターフェロンでやっつける。非常に生理的な方法です。ところが西洋医学で保険に通らないというのは、これは丸山ワクチンからがんに効くところだけ特定しろと、でも丸山ワクチンからがんに効くところだけをきれいにしていくと、私と同じことになるわけです。Th1が大きくなってがん細胞を抑えるかもわかりません、けれどもTh2が小さくなって免疫のバランスを失っちゃうわけです。がんは治すけれども免疫のバランスを失うとこれは治療法としてちゃんといかない。だから丸山ワクチンはちょうど漢方のようにいろんなものが入っている、それが実はバランスをとるためにいいわけです。丸山ワクチンを打ちますとTh1も大きくなって、Th2も大きくなります。だからアトピーにも効くわけですよ。でも西洋医学はがんにも効いてアトピーに効くのは認めないとやるから保険にも入らないということになる。でも本当はそういったバランスをとるのが免疫療法として非常に大事なのです。それが認められないということなのです。



5.寄生虫、細菌感染がアレルギーを抑える

 私はサナダムシのキヨミちゃんも自然治癒力の一つだと思うのです。キヨミちゃんは元気なときには1日20センチも伸びます。1日20センチ伸びるんですよ、だからこんな小さいのが1カ月で6メートルになります、卵を1日に200万個も産むのです。だからキヨミちゃんは私が元気でおいしいものをいっぱい食べてほしいはずです。ですからこの講演が終わりましたら篠原先生は私にステーキをおごってくれると思います。(会場、笑)高いところからお願いしていますから絶対おごってくれると思います。先生はこうおっしゃると思います、藤田先生の講演はちょっと品が悪かったけどおもしろかったと、お礼にステーキをどうぞとおっしゃると思います。これだけ言っておごってくれなかった会長さんはおりませんから、絶対おごってくれると思います。
 そのとき私がぜんそくになったとします、篠原先生はせっかくステーキをおごってやろうとおっしゃっていますけれども、私はぜんそくになりました。ぜんそくになったからステーキは食べられません、おかゆなら食べられます。でもおかゆを食べたのではキヨミちゃんは困るわけですよ、おかゆでは1日20センチ伸びないのです、卵を1日200万個産めない、だからキヨミちゃんは私のTh2を刺激して私がアレルギーにならないようにする、ぜんそくにならないようにする、私ががんになって食慾不振になったら困るからTh1を刺激して、私ががんにならないようにしている。私はキヨミちゃんの体からTh2を刺激する物質だけを取り出して薬にしたから免疫のバランスを失ったけれども、生きているキヨミちゃんはTh1もTh2も刺激している。
 私は寄生虫がヒトにいいことしていることを15年前に気がついたわけです。でもそれを医学の雑誌に書きますとひどい目に遭うと思いましたから、『文藝春秋』に書きました。そうしましたら結構お医者さんが見ておりまして、ひどいバッシングを受けたのです。藤田はとうとう頭にきたんじゃないか、寄生虫がいいことしていると、そんなばかなことが、でもきょう聴いていただいた皆さん方はおわかりいただいた。サナダムシのキヨミちゃんが私の体に入って私を殺したら自分も死ぬのです、そんなばかなことを寄生虫はやりません。サナダムシが子どもを産めるのは私の体だけです。人間の体だけ、だからそれを大事にする。それと同じように私たちに住んでいるばい菌は私たちを守るのです。ところが動物の寄生虫とかばい菌は動物を守るけれどもヒトに入ってきたら怖いわけです、すなわち私たちにとって寄生虫、ばい菌、ウイルスは敵と味方なのです。ところが世の中見てください、寄生虫はみんな悪い、ばい菌はみんな悪い、ですからそういったものを追放しているこの現代社会が免疫力を落としているのです。ばい菌とつき合うとTh1も大きくなって、Th2も大きくなるのです。がんにもアトピーにもならないわけです。
 私は回虫がアレルギーを抑えるという研究をしていましたけれども、結核をはじめとする細菌感染もアレルギーを抑えるというデータを京都大学とか大阪大学の耳鼻科の先生たちが言い出しました。結核のBCGを受けた子どもは花粉症になりにくい、何度も追加免疫を受けた子どもほど花粉症になりにくい。これが『サイエンス』という雑誌に載りました。見せてもらうと本当にBCGを打った子どもはアトピーもぜんそくも花粉症にもなっていなかったわけです。アレルギーを抑えるのは回虫か結核かで大議論をしたのですけれども、結論を言えば回虫でも結核でもウイルスでもそういったものとつき合っているとアレルギー反応が抑えられるということがわかったわけです。



6.きれい社会がアレルギーをおこす

 そうしますと、今までのことがすっかりわかってきました。ドイツという国は西ドイツと東ドイツが一緒になった国ですけれども、なぜか昔西ドイツの子どもにアレルギーが多い、アトピーもぜんそくも3倍ぐらい、この理由がわかりませんでしたけれども、西ドイツの子どもたちは早くから回虫を追い出しました。身の回りのばい菌を追い出した、きれい社会がアレルギーにしたということになります。
 そうしますと、今アトピー、ぜんそくが多いのはこうやって私たちの体を守っているばい菌を追い出すきれい社会だということになります。
 皮膚には表皮ブドウ球菌などがいっぱいいて10種類ぐらいの菌がいて皮膚を守っている。それを私たちは追い出しています。
 抗菌グッズは私大嫌いですけれども、もう抗菌でないものがないほど全部抗菌になっている。抗菌なんて一つもいいわけないのに、もう抗菌じゃないと日本の製品は流通しないというようになっています。皆さん方は洗ったらきれいになると思っている、でも洗ったら汚くなる。これもなかなかわかってもらえません。
 きれいな皮膚はこの皮膚の表面に皮膚常在菌というばい菌がいます。これが皮膚の脂肪をえさにして脂肪酸の膜をつくって皮膚を守っている。酸性の膜がありますからアレルゲンも入らない、悪いばい菌も入らない、水分が抜けないからしっとりした肌なのです。でも洗うと皮膚常在菌が洗い流されてアレルゲンが入って、そして水分が抜けてドライスキンになるわけです。今、日本人でドライスキンになっている方がいっぱいいます。
 女性の膣がきれいなのは膣の中にデーデルライン乳酸菌という菌がいて、膣を守っているからです。膣のグリコーゲンを食べて乳酸をつくって、膣を強力に酸性にして、雑菌の進入を抑えている。それを洗えばきれいになると思いおしっこに行くたびにビデで膣を洗う、そうすると守っている菌、デーデルライン乳酸菌を追い出してしまい、そうすると膣が中性になる、雑菌がわっとふえて膣炎になっている。私たちの体はいろんなばい菌で守られています。私たちは自然の中で生きてきたのは自然の中でもらってきた治癒力なのです。皮膚には皮膚常在菌に住んでもらって皮膚を守っていた。女性の膣は非常に子どもを産むために大事なところです。でも構造上、雑菌が非常にふえやすい構造をしているから私たちの先輩はデーデルライン乳酸菌のところへ行ってお願いしたと思うんですよ、ちょっと狭くて窮屈だけれども住んでくれないかと、えさをあげるからと住んでもらっていたのです。それをわざわざ追い出して膣炎になった。



7.腸内細菌とО-157

 もう一つ守っているのが腸内細菌です。腸内細菌だけは日本人は善玉と悪玉と分けている。日本人は善玉と悪玉と分けると善玉をものすごく可愛がる、悪玉は徹底的にいじめる。ビフィズス菌、かりんとうみたいな顔をしていますね、顔がいいとまた大事にするんですよ。
 乳酸菌はドロップみたいな顔をしています。日本人は乳酸菌とかビフィズス菌をばい菌とは思っていないですね、ヤクルトだと思っていますね。(会場、笑)
 大腸菌は顔も悪い、悪者、だからいじめるわけです。でも大腸菌も生き物ですからそのいじめに対して200種類ぐらいの変わった大腸菌が生まれた。その中の157番目がO-157です。
 ですからO-157は私の好きなインドネシアにいません。どこにいるかというと大腸菌をいじめたきれい社会にしかいない。アメリカ、カナダ、日本、ドイツ、ノルウェー、イギリス、そういうところにしかいない。ところがこのO-157というのは怖い菌と思っておられるかもわかりませんけれども、とてもやわな菌です。ばい菌は生まれたら100のエネルギーを持って生まれますけれども、O-157は毒素産生しますから100のエネルギーのうちの70ぐらいを使って毒素産生しますから生きる力は30です。そうするとエネルギー100の菌がいると一遍にやられちゃうわけです。ですからO-157の集団感染は皆さん方の好きな屋台では起こっていないわけです。新宿駅で寝ている方々にも起こっていないわけです。私の家からも絶対感染は起こりません、確信しております。私の奥さんの顔は汚いのですけれども台所はもっと汚いですから、まな板は雑菌だらけだから運ばれてもやられちゃうわけですよ。O-157はどこで起こりましたか、世界一きれいな学校給食の場所でしょう。全ばい菌をやっつけちゃうとやわな菌も生き残るわけです。O-157の運び屋としてカイワレダイコンがいいのはカイワレは無菌で育っているからです。
 これは大坂の堺でO-157の集団感染があったときに、私の友達の中村明子教授が調べました。小学生の便を調べたらO-157の菌がいっぱいいるのに全く下痢しない子が30%、下痢を繰り返した子が12%いました。同じようにO-157を飲み込んで便の中にO-157の菌がいっぱい出ているのに全く下痢しない子が30%いるんですよ、それに反して入院したのが12%、どんな人たちだか調べました。O-157を飲み込んで下痢を繰り返している子どもはとても神経質な子どもでした。すべてが一戸建てに住んでいました。ほとんどが長男でした。そのお母さんがまた神経質、どんなお母さんかというと、子どもが落ちたものを拾って食べようとすると殴りつけるようなお母さんです。
 O-157を飲み込んでも全く下痢しない子、もう皆さん方答え知っていますね、汚い子どもでした。(会場、笑)お母さんがそれに輪をかけて汚かったと申しますけれども、この汚いというのは実は尊敬語なのです。なぜかというと私たちの体を構成している細胞は1万年前と変わっていないということですよ、1万年前というと非常に昔のように思うかもわかりません、けれども私たちがこの地球上に生活した38億年の中で1万年というとほんの瞬きする瞬間です。1万年前から違ったのは足の長さとかヒップの大きさとか、あごの長さは変わっているけれども細胞は変わらない。私たちは文明というか文化がいいと考えるめずらしい生物なのです。ですから1万年前と違ってこんなにきれいな環境をつくり、こんなに効率的な環境をつくった、でもそれは仕方がないのです、そういういいと思っている生物ですから。ブタはこんな環境がいいとは思っていないんですよ、ニワトリもこんな環境がいいとは思っていない、人だけがこういうのがいいと思っている。だからこういう環境に住まざるを得ないのですけれども落とし穴があります。私は“きれい社会の落とし穴”と言っている。こんな効率的なところへ住まなければいけないけれども、私たちの体は1万年前と同じだから1万年前と同じ生活様式をこの現代社会の中で取り込まなければいけない。だから汚いというのが尊敬語になるわけです。
 きれいにすることはいいことです。けれども微生物をすべて悪者として排除しますからアレルギーになったり、O-157になったという話をしました。日本人の免疫力は世界一落ちています。1万年前に抗菌グッズとか抗生物質、こんなものはなかったわけです。
 花粉症の第一例は1963年、でも日光の杉並木は17世紀に植えられました。17世紀からスギ花粉は飛んでいても花粉症にならなかった。
 見てください。アトピー、ぜんそく、花粉症は全部1965年から急激に増えました。その前にはほとんどなかったのです。私が三重県多気郡明星村にいるころは日本人の回虫感染率62%です。回虫が気持ちの悪いもので追い出しました。回虫の感染率が5%を切った1965年から花粉症、ぜんそく、アトピーが出てきたわけです。



8.清潔は病気だ

 私は清潔は病気だと思います、朝日新聞社からその本を出しました。そうしましたら、またお医者さんから、医学部の先生からひどいバッシングを受けました。藤田、清潔というのは医学の中心課題だ、清潔は病気だと言っているおまえの方が病気だと言われたわけですけれども、聴いていただいた皆さん方にはおわかりいただいたと思います。私たちを守っている菌まで追い出して免疫を落としていろんな病気になっている。そして追い出すためにいろんな化学物質で追い出して地球を汚染している。そういう清潔は病気だということです。
 免疫力は1万年前と同じだから1万年前と同じようなことをすればいいのです。泥んこ遊びしましょう。
 わかってもらえませんから沖縄へ行きました。アレルギー体質やアトピー性皮膚炎児、ぜんそく児を集めてどんなことをしている子どもがアレルギーにならないか調べました。その結果、泥んこ遊びをしている子どもはアレルギーになっていません。きれいな部屋でコンピュータゲームをしている子どもがアレルギーになりやすいのです。
 この調査でおもしろいこと。第一子が二子、三子に比べてこんなにアレルギーになりやすいのです。子どものアレルギーになる遺伝的な確率は一子でも二子でも三子でも同じでしょう、でも、なぜ第一子が多いのでしょうか。子どもを産んだお母さんはみんな答えを知っています。第一子、最初に生まれた子どもですから大事に育てます。哺乳瓶は必ず煮沸して飲ませていました。おっぱいも消毒していました。ところが二番目、三番目になると面倒くさくなって哺乳瓶は洗いもしないで飲ませています。おっぱいは出しっぱなしです。(会場、笑)そうするとアレルギーにならない。
 もう一つ、お母さんが働いていると子どもはアレルギーにならない。お母さんがずっと子どもを見ていると、子どもはアレルギーになりやすい、これもおわかりですね。お母さんがじっと子どもを見ていると泥んこ遊びをしてはいけません、落ちたものを拾ってはだめです、こうやっています。そうするとアレルギーになりやすいわけです。お母さんが働いていると子どもはほっぽらかしです、子どもは結構汚いことをする、それがアレルギーを抑えていたわけです。私はだんだんキレてきました。『バイキンが子どもを強くする』
 こんな本まで書きました。ここまで書くと医学部の先生方はバッシングをあきらめたようです。



9.免疫力を高める生活

 今はもう大変なことになってきたわけです。生まれる子どもの40%がアトピーとかぜんそくになる。私はじっとしておれなくて『子どもの免疫力を高める方法』というのを書きました。
 私は『原始人健康学』というのを書いています。これは原始人になれということではありません。私たちの体を構成している細胞は1万年前と同じだから、1万年前と同じような生活様式をこの現代社会で取り入れましょうということなのです。
 私たちの免疫力はTh1とTh2がありますけれども、トータルでみると70%が腸内細菌が握っているということです。だから腸内細菌を多くすればいいのです。風邪をひいたときにむやみに抗生物質などを飲んではいけません、腸内細菌のえさとなる穀類、野菜類、果物などの食品をとる、これがTh1を大きくし、がんにならなくする。Th2を大きくしてアトピーにならなくするわけです。あとの30%が気持ちの問題です。
 1日1回大声で笑いましょうと言いました。これは先ほど言いましたようにNK細胞というのはがん細胞を直接やっつける細胞ですから笑わないと損なんですよ。私、喉頭がんになった人を月1回みています。喉頭がんになった人に私、駄洒落を言うのです。そしたら藤田先生の駄じゃれはおもしろいわと言っている人は再発率ゼロです。(会場、笑)藤田君の駄じゃれはおもしろくないやと言っている人は再発率50%です。だから笑わないと損なんですよ。
 見てください、この『ザッツ』の研究もそうです。頭頚部がんの患者によるNK細胞、NK細胞が強い人はがんを再発していません。弱いグループは50%ぐらいになる。NK細胞というのは簡単に努力したら出るのです。笑えばワッと上がる、いいことをイメージするとワッと上がるのです。それが免疫力の30%ですからこれ大きいですよ。
 私の弟は膵臓がんで亡くなりました。弟は整形外科の部長をしておりまして、自分でおなかの調子がおかしいということで自分で診断して膵臓がんをみつけた、初期にみつけたのです。そして日本で一番の名手の教授に執刀してもらいました。それにもかかわらず彼は1年以内に死んでしまいました。彼は離婚ではないけれども奥さんとうまくいっていない。病室には子どももだれも見舞いに行かない、私が行ったときには大きな病室ががらんどうになっていて、花も活けていないのです。弟に「あにき、カサブランカを買ってくれ」と言われた、私はカサブランカって何かわかりませんでした。聞いてみたらユリの花でそれが別れの花だったらしいのです。それで死んじゃいました。
 私の友達の橋本さんという方は北海道におられる方です。おなかがおかしいので北大の第一外科へ行って、おなかを開いたら手遅れだった。余命は2カ月だと言われた。そしたら橋本さんは若いころハワイで働いたことがある。で、家族を集めて、おれは2カ月で死ぬけれども死ぬ前に一度ハワイに連れていってくれと、橋本さんの家族は奥さんともうまくいっていない、子ども3人いるけれどもみんなニート、でもその話をしたらニートの子どもたちが集まってきてアルバイトをして一家でハワイに行くお金をためたのです。そして1回目行こうと思ったらハシモトさんの調子が悪くてJTBの方はキャンセルした。2回目に行こうとしたらまたキャンセル、3回目に車いすで行きました。ところが4日ぐらいハワイにいると元気になってきた。だからもう一回行こうといって行ったら今度は車いすなしで今でもピンピンしています、3年たっても。弟は初期でみつけて日本一の手術を受けて、それでも1年以内で亡くなった。これは私は30%の気持ちの問題だと思います。
 今アメリカでサイモントン療法というのがあります。これはイメージ療法です。毎日がん細胞とNK細胞の絵を描かせるのです。そしてがん細胞の方が大きかったらだめなのです。「もっとあなたのNKは大きいんじゃないの」と指導する。で、だんだんNK細胞を大きくする、そしてイメージで治そうという作業です。このNK細胞というのは努力で気持ちが上がるのです。だから私の駄じゃれで笑わない人には言っているのです、「あんたマスクかぶりなさい、そして笑う絵を書きなさい、そして鏡を見なさい」と、そしたら笑っていますね。NK活性が上がるのです。
 もうストレスが非常に弱いのです。だからポジティブに考えましょう、これ免疫上がりますよ、私はイメージ療法というのをやりました。本当は今一ツ橋にいるのですが沖縄の珊瑚礁にいると思ってください、珊瑚礁きれいですね、熱帯魚が見えますか、30分言っただけでNK細胞活性はみんな上がりました。
 みんな、NK細胞活性が上がっているのです。だからもう嫌なことはやめていい方に考えましょう。もうお酒も私は嫌な人とは飲まないことにしています。実験しますと、お酒を飲める人と飲めない人がいますけれども、飲めない人は飲んではいけませんよ、分解する酵素がないですからね。飲める人は飲まないより飲んだ方ががんになりません、これははっきり免疫が上がります。ただし、条件が2つです。1日1.5合までです、ビール瓶では1.5合までは免疫上がります、それ以上になると免疫は落ち始めます。そしてもう1つは、嫌な上司と飲まないことです。(会場、笑)もう嫌な上司と飮むとワァーッと免疫が落ちます。私、世の中で一番嫌いな人はけちの大酒飲みです。明太子1個で3時間も飮む人です。ちょっと明太子をつっついてちょっと飲んでグジュグジュ言う人、もう絶対免疫力は落ちますね。ですからそういう人とは絶対飲まないことにしております。
 運動もいいのですが、やり過ぎると免疫は落ちます。運動が体にいいということはみんな知っていますが、でもスポーツクラブへ行ってごらんなさい。自転車の上に乗って死にそうになってやっていますけれども、それでは免疫は落ちる……ほどほど、何でもいいこともほどほどということがひとつポイントです。
 そして食べ物です。アメリカの国立がん研究所はがんを抑える食品を挙げています。これみんな穀類、野菜類、豆類、果物類、これが腸内細菌のえさとなってTh1を大きくして、そしてがん細胞を抑えるわけです。
 アメリカの栄養学の先生方は、日本人の伝統的な食品を見習いましょうと食事ピラミッドをつくっています、見てください。毎日食べるもの、穀類、野菜類、豆類、果物類、こういったものが腸内細菌のえさとなって、がんを抑えるわけです。
 見てください。アメリカ人と日本人と野菜一人当たりの消費量、こんなにアメリカ人の方が多くなっています。日本人は年々少なくなっている。ご存じのようにアメリカでは1995年からがんの発生率が減ってきました。ところが日本はがんの発生率はふえ続けています。がんの研究も大事だけれども、私たちの体が1万年前と同じだということをイメージすることによって、がんの発生を抑える、がんの再発を抑えるということです。
 肉類がふえた、インスタントがふえた、半加工品がふえた、これがアレルギーになる率を高めているというデータが出ている。それと同時にこれがTh1も落としている、免疫を落とすがんになりやすい物質なのです。
 ぜんそくが毎年ふえています。ぜんそくの原因は公害だと言われた。公害がこんなに悪くなっているはずはございません。私の言っているようにきれい社会がアレルギーにしている、同時にきれい社会が免疫力を落としているということです。
 アトピーもそうです。
 私の仮説がやっと医学界でも認められるようになった。それは1970年代生まれの日本人の88%が既にアレルギー体質になった。ところが60年生まれは44%です。1970年というのはすべての製品が抗菌化された時代です。抗菌化社会はアレルギー反応をすすめ、抗菌化社会はアレルギー体質をつくる。私の言っていることがデータとして出てきたわけです。
 きょうお話ししたのは免疫力の低下のお話をしたのですけれども、実はもっと怖いことが起こっています。感性とか情熱が萎縮して、精神的にもおかしな若者ができているということです。これはきょうの主題ではございませんので割愛させていただきます。
 私たちの細胞は微生物との共生によってつくられています。最初は地球上にあらわれたのは原核細胞、原核細胞は炭酸ガスを吸って酸素をいっぱい産生した。地球上に酸素がいっぱいになると酸素を利用しないと進化できなくなる。だから私たちの先輩の細胞は好気的な細菌を中に入れてミトコンドリアにしました。植物細胞は光合成の細菌を中に入れて葉緑体にしました。私たちの細胞は細菌と一緒になっているわけです。そのばい菌を駆逐して私たちは生きられないのですが、実際はそういったものを全部排除している世の中になったわけです。
 きょうお話しさせていただいたのは免疫です。免疫というのはがんの発生とかアトピーとか自己免疫疾患、生きる力も関係している。その70%が腸内細菌の数とバランスでできている。
 あとの30%が内分泌や神経系の刺激でつくられている。だから自然に親しむ、笑って楽しく生活する、運動する、規則正しい生活をする、何でもないことです。何でもないことがこの現代社会ではやられていないということです。
 今、アンチエイジングの研究が世界でどこでも行われています。アンチエイジングというのは高齢化社会の中にあっていつまでも若くて元気でいたい。その結論を言いますと、どの研究も現代文明は人間を老化に向かわせる。だから現代社会の中にあって1万年前と同じ生活を取り入れよう、運動しましょう、活性酸素がいっぱい出てきたからそれを抑える食品を食べましょう、体に合った良質な水を1日2リットル飲みましょう、粉にしない穀類、野菜類、これは腸内細菌のえさとなって免疫力を上げるわけです。
 私たちの体を構成している1万年前と同じ、だから現代社会で1万年前と同じ生活を取り入れる。これが免疫力を上げるコツだと思います。
 きれい社会の落とし穴、きれいな社会に我々は住まざるを得ないけれども落とし穴があった。そしてこの現代文明の中にべったりと浸っていると私たちの免疫が落ちてきている。がんにもなりやすいしアトピーにもなりやすい、私は思うわけです。きょうは大変貴重な時間をいただきまして私の話、非常に品の悪いお話でしたけれども、最後までお聴きいただきました。心から感謝します。ありがとうございました。(拍手)